ミーム (Meme) のSNS・マーケティング利用と著作権
Meme(ミーム)とは?
“ミーム”という言葉を聞いたことがなくとも、見たことがある人は多いと思います。数年前にSNSで一世を風靡した『塩振りおじさん(Salt Bae)』を覚えているでしょうか?
当時、この写真を面白おかしく加工した画像が大量に出回りましたが、これがミームの一例です。
英語では“Meme”と表記されます(“メメ”ではありません)。日本語だと大喜利、写真でボケて、が近いかもしれません。ミームとはこのように特定の画像や動画・文章がユーモラスに加工されたもののことで、特に面白いものはソーシャルメディアなどのインターネット上で急速に拡散する性質があります。
ミームは合法的にソーシャルメディアに使用できるか?
海外のソーシャルメディアを見ていると、個人・企業アカウントを問わずミームがよく投稿されているのを見かけると思います。ミームはSNSで流れてくるとクスっと笑えるもので、それが企業アカウントであればそのブランドに親近感が沸きます。一方で、デジタルマーケティングに携わる人であれば「著作権的に問題はないのだろうか?」と疑問に思うでしょう。
ミームに広く使われている人気画像の多くには著作権があります。ちなみにミーム画像だけでなく、セレブリティ・有名人の画像についても同様です。それらの画像について使用許諾を得ていない場合、無断でコンテンツ作成に使うのは知的財産権(Intellectual Property Rights=IP)の侵害となります。実際にそういったミームコンテンツを投稿しているアカウントもたくさんありますが、常に訴えられる危険性があるということです。
ビジネス・マーケティング目的のミーム画像使用はNG
もし実際に訴えられた場合、争点となるのは主に「営利目的だったかどうか」「無断使用による著作者側への影響」です。つまり一般の人が個人の楽しみのためにミームを投稿するのは著作権侵害には変わりありませんが、賠償責任を負うかどうかはグレーゾーンです。一方、企業や営利団体が運営するSNSアカウントについてはすべてが商業目的・マーケティング利用とみなされますので、多額の賠償金を請求されるリスクがあります。みんなが使っているからと軽い気持ちで投稿するのは絶対にやめましょう。
よく出回っている画像をネットから拾ってきて使用するのは避けるべきですが、自社で撮影した画像・動画やロイヤリティフリーの素材を加工する分には問題ありません。アメリカのファストフードチェーンなどはソーシャルメディアを積極的に活用しており、Wendy’sやChipotleなどは商品のアピールにミーム風のオリジナルコンテンツを多用しています。
ちなみにこちらはWendy’sのInstagram Reelコンテンツの1つです。有料のストック素材を使用する場合、購入前の素材にはウォーターマーク(コピーガードのための透かし)が入っており利用者はライセンス料を支払ってウォーターマークを外して使うのが普通ですが、Wendy’sはこれを逆手にとりウォーターマークが入ったまま投稿しました。
コメント欄は「ウォーターマーク入ってるwww」「ウェンディーズはそんなに予算ないのか」「Getty Imagesはウェンディーズにむしろ払うべき」などの声で溢れ、動画は22,000いいねが付きました。秀逸なコンテンツマーケティングの例と言えます。
代表的なミーム画像例
それでは最後に、アメリカでよく登場する人気のミーム画像を掲載しておきます。繰り返しとなりますが、企業のソーシャルメディアアカウントで投稿するのはNGですよ!