アメリカでのB2Bマーケティング Vol.1:様変わりするアメリカのB2Bビジネス様式

末永 恵

アメリカでのB2Bマーケティング Vol.1:様変わりするアメリカのB2Bビジネス様式

B2B企業にマーケティングは必要なのか?

B2Bマーケティングとは、Business to Business (BtoB, B2B)つまり顧客が一般消費者でなく対法人のビジネスモデルをもつ企業が行うマーケティング活動のことです。B2B企業はB2C (BtoC, Business to Consumer)企業に比べるとマーケティングはあまり活発に行われてこなかった業界と言えるでしょう。その構図がアメリカでは大きく様変わりを始めています。

B2B企業における顧客獲得の手法は伝統的に、展示会への出展と対面営業が中心でした。しかしパンデミックを機に展示会がなくなり、出張ベースで行っていた対面営業ができなくなったことで、各B2B企業はオンラインでのコミュニケーションやデジタルツールの導入を余儀なくされます。パンデミックが終息し展示会や出張が再開された後も、Zoomミーティングやチャットボット・オンライン決済などデジタル化されたものは標準機能として残りました。

 

B2Bバイヤーの若年化

パンデミックはあくまで来るべきデジタル化の進行を速めただけにすぎず、B2Bビジネスの変化のもっと大きな要因はバイヤーの若年化です。バイヤーとはつまり買い手のことで、B2B企業にとっては直接の顧客ということになります。B2Bバイヤーのタイプは業界・業種によってさまざまです。化学品メーカーであればバイヤーは研究所の技術者かもしれませんし、自動車パーツ会社であれば販売先は工場の調達部門かもしれません。共通して言えることは、バイヤーの年齢が若年化しているということです。

リサーチ会社Forresterによると、2023年の調査時点でB2Bバイヤーの半分以上をミレニアル層(2024年時点で27歳から43歳を迎える世代)が占めており、Z世代(2024年時点で9歳から27歳を迎える世代)を加えると64%になるそうです。この層の人々は社会人となった時点から常にデジタルツールを使用して仕事をしてきた世代で、Forresterの同調査によると年配のバイヤー層に比べると“セルフサービス型”の取引チャネル(オンラインマーケットプレイスやアプリ、ウェブサイトなど)を利用する傾向が強いとのことです。

 

ベンダーリサーチの70%はオンラインで完結

メインのバイヤー世代が「“セルフサービス型”の取引チャネルを好む」のは何を意味するでしょうか?アメリカのマーケティング会社6senseの調査によると、B2Bバイヤーが新たな調達先としてのベンダーを探す際、そのリサーチの初めの70%はデスクリサーチで行うとの結果が出ています。

B2Bバイヤージャーニー

 

これはつまり、バイヤーは新たな取引先をまずGoogleやBingなどの検索エンジンを使ってリストアップ、ベンダーのウェブサイトやLinkedInなどから情報を収集して候補を選定することに7割の時間を割いており、残りの3割の時間で最終的に絞り込んだ数社にコンタクトを取っているということです。B2B企業からすると、このバイヤーのデスクリサーチの時点で名前がヒットしなければ候補にも挙がらず、ウェブサイトを見つけてもらったとしても情報が不十分であったりバイヤーが商品を魅力的だと思わなければ、その後の問合せにはつながらず商機を逸することになります。

 

このように、アメリカではB2B企業であってもオンライン上のプレゼンスの低さはバイヤーのリードを逃す致命的な問題です。逆にウェブサイトやLinkedInを上手に活用して商品・サービスをしっかりアピールできれば、今現在認知度が低い企業でもアメリカのバイヤーに興味を持ってもらえる可能性が高まります。ではB2B企業には実際どんなマーケティング活動が必要なのか、次回以降で詳しく解説します。

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