アメリカを席巻する『バーベンハイマー』現象

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アメリカを席巻する『バーベンハイマー』現象

この夏注目の2大映画が先週金曜、アメリカで公開初日を迎えました。グレタ・ガーウィグ監督、マーゴット・ロビー主演の『バービー(Barbie)』と、クリストファー・ノーラン監督、キリアン・マーフィー主演で“原爆の父”の苦悩と生涯を描く『オッペンハイマー(Oppenheimer)』。この2つの映画を総称し、アメリカでは“バーベンハイマー(Barbenheimer)”ブームが起きています。

 

“バーベンハイマー”のおかげで映画館は久しぶりの大盛況

『バービー』と『オッペンハイマー』は、4年前に『アベンジャーズ/エンドゲーム』が公開されて以来、北米の映画館に最高の週末をもたらしました。『バービー』は1億5,500万ドルの興行収入をたたき出し、今年2023年最高のオープニングを記録。一方の『オッペンハイマー』は8,050万ドルと、額だけを見ればバービーのおよそ半分ですが、これはR指定映画(さらに3時間に及ぶ歴史もの)としては驚異的な興収であり、当初の5,000万ドルという予想を大きく上回りました。

どちらも劇場鑑賞向きの映画とあって、パンデミックによるロックダウン、またストリーミングの普及により閑散としていた映画館に、この夏は久しぶりに活気が戻っています。

 

盛り上がるインターネットミーム

『バーベンハイマー』は、より多くの消費者の興味を惹きつけるために、全く異なる作品を同日に公開する“カウンター・プログラミング”という、ハリウッドではよく知られた手法を取り入れています。どちらも批評家から絶賛されている作品だけに、それぞれ単独でも成功はしたのでしょうが、このユニークな組み合わせによって「片方を観たいけど、もう片方も観てみよう」と思わせることに成功し、また「どちらを先に観るべきか?」というネット上での熱い議論を呼んでいます。

『バーベンハイマー』に関するネットミームも日々量産され続けており、ついには架空の映画『バーベンハイマー』のトレイラーも登場しました。

もともと興味がなかった人でも、このような世の中の盛り上がりに影響され「観てみようかな」と思う人は多いでしょう。

 

『オッペンハイマー』の日本公開時期は未定

北米をはじめ、ヨーロッパ・アジア・アフリカなどすでに全世界で公開中のオッペンハイマーですが、日本での公開日はまだ発表されていません。原爆の父であるオッペンハイマーの物語が、世界で唯一の被爆国である日本にとってセンシティブな話題であることは言うまでもなく、批判が巻き起こる可能性もゼロではありません。

映画の中で広島や長崎に関する直接的な描写はないようですが、日本での公開時期未定を伝える報道の中にも「原爆が第二次世界大戦を終わらせた」というニュアンスの記述をするメディアはあり、観る人の国籍や年代によって映画のとらえ方はさまざまでしょう。とは言え、これだけの話題作が一切公開されないというのも考えにくいので、8/6や8/9の原爆の日、または8/15の終戦記念日以降に公開される可能性が高いと見られています。

一方の『バービー』は2023年8月11日より、日本公開予定となっています。