Instagramの企業アカウントでリポストするために“許可”は必要か?
2023年の幕が開け、今年は新たなマーケティング戦略・ソーシャルメディア運用を計画している企業も多いと思います。今回は企業のInstagram運営に関し、よくあるご質問について解説します。
Instagramリポストは重要なUGCマーケティング
UGCは”User Generated Content”の略で、企業・ブランド側ではない一般ユーザーによって作成されたコンテンツのことを意味します。自社のウェブサイトやソーシャルメディアに載せるための写真やグラフィックを準備するために、フォトグラファー・スタジオ・モデル・デザイナーなどを毎回手配していては多額のコストがかかります。もちろん、それらが必要な場合もありますが、質よりも量や価格を優先する場合には非効率です。UGCはその点、ユーザーが自主的にブランドや商品について作成したコンテンツなので、無料で利用ができます。
UGCのもう1つの大きなメリットはリアルであることです。一般ユーザーが作るコンテンツなので、言葉づかいや写真・グラフィックの質を含め良くも悪くも臨場感があり、企業が作る綺麗で毒にも薬にもならないような広告をどんどん信頼しなくなっている昨今の生活者にインパクトを与えることができます。こういった世の中の流れもあり、UGCマーケティングはますます重要になってきています。
Instagramでの無断リポストは“著作権侵害”にあたるのか?
ということで、Instagramを運用している企業・ブランドであれば、UGCは積極的にリポスト(リグラム・リシェア)して活用したほうが良いでしょう。ここで問題となるのが“Copyright=著作権”です。Instagramは他のSNSと違いシェアやリポストの機能がないため、常識のあるマーケティング担当者であれば「勝手にリポストして良いのだろうか?」と疑問に思うはずです。
Instagramは公式サイトの利用規約内で、「コンテンツの著作権は制作したユーザー本人に属する」と明記しています。Meta(Instagramの運営会社・旧Facebook)は、ユーザーが投稿したコンテンツを削除したりデータを保管する権利は有するが、ライセンス自体はユーザー本人にあり、第3者がその著作権を侵害することはポリシー違反であると記載があります。ただし、リポストについての明確な言及はありません。
インスタでの無断リポストは違法である、という法律は存在しませんが、コンテンツの著作権がユーザーに属する以上、無断で使用した場合、著作権侵害で訴えられるリスクはあります。よって、法律的にはグレーなエリアですが、リポストする際は必ず制作者に許可を取るようにしましょう。
トラブルにならないためのリポストのルール
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許可を得る
リポストしたいコンテンツを見つけたら、InstagramのDMまたはコメント欄で企業アカウントからユーザーにコンタクトを取りましょう。文面の例としては、
「Great Photo! Can we feature it on our page and tag you in the caption for credit?」
「Love this image. Would it be OK if we repost it to our Instagram account? Thanks!」
といった感じで、ごくカジュアルな形で問題ありません。返事がこない可能性も当然ありますが、65%のユーザーはリクエストから24時間以内に承認の連絡をするというデータもあり、返答確率は高いと思われます。
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リポストの投稿内でアカウント名をMentionする
リポスト投稿のキャプション内でコンテンツ制作者のユーザーネームを明記し、誰が制作したか一目で分かるようにしましょう。例としては以下のような書き方があります。
- Credit: @username
- Photo credit: @username
- Moment captured by @username
- 📷 @username
- Thanks to @username for sharing this image with us
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コンテンツ(画像・動画・キャプション)を変えない
先述の通り、コンテンツの著作権自体はユーザーが持っています。許可を得てリポストするとしても、もともとの写真を加工(色変更やトリミング含め)したり、キャプションを編集するのは避けましょう。もとのキャプションを一切記載しないか、または全文記載したその下にオリジナルの文面を追加することは問題ありません。
UGCを活用したAir bnbの事例
バケーションレンタル・民泊サービスの“Air bnb(エアビーアンドビー)”のInstagramページは、投稿の多くにUGCを活用しています。世界中でサービスを展開する同社にとって、スタッフがわざわざ現地に出向いて撮影をするよりも、ユーザーが投稿してくれたコンテンツを使用するというのはコスト・リソースの面で賢いやり方です。
Air bnbは、UGCについて専用の利用規約ページを持っています。ユーザーの投稿のコメント欄にリポストのオファーとこのページのURLを記載し、ユーザーが #airbnbphoto とリプライすることで利用規約に同意したこととする、という手法で許可を取得しています。Air bnbの運営側にもリスクがなく、ユーザーにとっても明確で簡単に承認を済ませることができるスマートな方法ですね。