B2Bマーケティングにおける”ダークファネル”:バイヤープロセスの可視化と対策
1. ダークファネルとは?
マーケティングにおけるダークファネル (Dark Funnel)
B2Bウェブマーケティングにおいて「ダークファネル(Dark Funnel)」とは、従来のデジタルマーケティング手法では可視化できない=トラッキングできないバイヤージャーニーの一部を指します。ダークファネルを経由する見込み顧客は、追跡可能なデジタルチャネルの外で企業・商品とのタッチポイントを得て、口コミや非公開のコミュニティでのディスカッションを通じて意思決定を行います。そのため、バイヤーがどこで企業や商品のことを知り、何がコンバージョンの決め手だったのかというアトリビューションを計測することが困難です。
B2Bの場合、ウェブサイトへの訪問はGoogleなどの検索エンジンからがもっとも多い、という企業は多いと思います。その検索ワードに会社名や商品・サービス名が含まれている場合、訪問者はGoogle検索をする以前のどこかでタッチポイントがあったということになります。それがどこだったのか把握できない、というのがダークファネルの分かりやすい一例です。
“ダークソーシャル”との違い
「ダークソーシャル」という言葉を聞いたことがある人はもっと多いかもしれません。ダークソーシャルは、SMS、メール、SNSのプライベートグループなど非公開チャネルでのやりとりを指します。一方「ダークファネル」は、より広範なB2Bリード獲得プロセスに影響を与えるバイヤーの行動を含みます。例えば、展示会、関係社外秘のSlackチャンネル、クローズドなLinkedInグループ、業界フォーラム、ポッドキャストなどの情報源が、バイヤーの意思決定に重要な役割を果たすことがあります。
2. B2Bウェブマーケティングにおけるダークファネルの重要性
ダークファネルの例
デジタルマーケティングにおいて、Google Analytics (GA4)など従来のツールでは測定できないダークファネルのチャネルは数多く存在します。B2Bマーケティングにおいてもユーザー行動は年々複雑化していますが、例えば以下のようなチャネルはバイヤージャーニーにおいて重要な影響を与えます。
– プライベートなSlackやAsanaのコミュニティ
– 口コミによる紹介
– クローズドなLinkedInまたはFacebookグループ
– テキスト、SMS、DM、メールでの言及
– Redditなどの業界フォーラム
– サードパーティのレビューサイト
– ポッドキャストやウェビナーでの言及
– 展示会や業界イベント
ダークファネルを経由するバイヤージャーニーの例
B2Bバイヤーのコンバージョンに至るプロセスはどのようなものが考えられるか、いくつかのパターンを見てみましょう。
1. プライベートなSlackグループで同僚から製品の情報が共有される
2. LinkedInグループのメンバーがとあるサービスについてポジティブな体験を共有する
3. 業界のポッドキャストで、ゲストが製品を重要なリソースとして紹介する
4. G2やCapterraなどのサードパーティのレビューサイトで評価を確認する
5. 展示会で企業の担当者と直接話し、製品のデモを体験する
これらのタッチポイントはGA4などのスタンダードな計測ツールでは検出ができません。ですが前回紹介した“インテントセールス”のように、ウェブサイト訪問者によるインテントデータを収集するなど、マーケティング施策の改善に活かすことができる可能性もあります。
3. ダークファネルマーケティングの実践方法
可能な限りのトラッキングと可視化
すべてのダークファネルを追跡してデータ化することはできませんが、以下のような取り組みにより部分的にでも“見える化”できる可能性があります。
– 可能な限りUTMパラメータを使用して共有リンクを追跡する
– 見込み顧客に、どのように企業・商品のことを知ったのかフォームやアンケートで尋ねる
– レビューサイト、ポッドキャスト、コミュニティディスカッション、展示会でのリード獲得を監視する
– ソーシャルリスニングツールを活用し、プライベートまたはセミプライベートな会話でのブランド名の言及を特定・モニタリングする
マーケティング活動へのデータ活用
取得できたダークファネルのインサイトは眺めて終わりではなく、以降のマーケティング活動に効果的に活用しましょう。
– サードパーティプロバイダーまたはツールを利用してインテントデータを取得し、外部ディスカッションに関与している潜在クライアントを特定する
– 営業チームとマーケティングチームを連携させ、インテントセールスのアプローチを強化する
– ダークファネルチャネルでの自然なブランドディスカッションを促進するために、コンテンツマーケティングに力を入れる
– 業界のグループ、フォーラム、展示会、イベントに積極的に参加し、コミュニケーションを図る
バイヤーの行動がますますオンライン化・複雑化していく中、B2Bマーケターがどんなに頑張ってバイヤージャーニーの全ステップを把握しようとしても、ダークファネルが消えることはありません。とはいえ、マーケティング担当者はバイヤージャーニー全体を通して極力透明性の確保を図り、リード獲得に至る行動とのギャップをできるだけ埋めるように努力すべきです。
直接的なアトリビューションの測定が困難であっても、ダークファネルの存在を認識し、それに適応することで、B2Bデジタルマーケティング施策を強化しながら、リード獲得の可能性を高めることができるでしょう。
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